東京高等裁判所 昭和33年(ネ)283号・昭32年(ネ)2419号・昭32年(ネ)2422号 判決
原告の被告らに対する請求原因の要旨は、「別紙第一目録記載の土地(以下本件土地という)は原告の所有であるにも拘らず、参加人は原告からこれを買受けたと主張して紛争を生じたので、原告は大津一雄にその解決方を依頼しその際同人と通謀して右解決の便宜上原告名義の同人あて七万五千円の虚偽の借用証を作成し同人に交付したほか、東京商事株式会社設立のため必要書類として原告の印鑑証明書も同人に交付したところ、同人は右の約旨に反し右貸金債権ありとし本件土地をその代物弁済として取得したものとして、右書類等を使用し何ら同人に本件土地所有権が移転した事実が存しないにも拘らず、原告不知の間に右登記に及んだものであるからその抹消を求める。」というにあり、原告の参加人に対する反訴請求の請求原因の要旨は、「本件土地は原告の所有であるにも拘らず参加人は原告からこれを買受けたとしてその地上に別紙第二目録記載の建物を所有してこれを占有しているからその収去と本件土地の明渡及び損害金の支払を求める。」というにある。
しかして参加人の原告及び被告らに対する請求原因の要旨は、「参加人は原告から本件土地を買受けたものであるところ、本件土地につき大津一雄及び被告らのためにする所有権移転登記が存するのであるが、右は所有権が大津一雄及び被告らに移転した事実がないのにもかかわらず当事者通謀してなした実体的権利関係に符合しない登記であるから、被告らに対しその抹消登記を求め、原告に対し参加人への所有権移転登記を求め、かつ原告及び被告らに対し参加人の本件土地所有権の確認を求める。」というにある。(中略)
果して然らば、大津一雄は前示代物弁済により本件土地所有権を取得したものというべく、同人のためにする前示所有権移転登記は実体的権利関係に符合し有効であるから、その登記の無効を前提として被告らに対してこれが抹消登記を求める原告及び参加人の各請求並びに大津一雄の一般承継人たること当事者間に争のない被告らに対しその相続による所有権移転登記の抹消登記を求める参加人の請求は失当として棄却すべきである。而してたとえ参加人主張のように参加人がこれより先昭和二十四年十月十二日原告から本件土地を買受けた事実が存するとしても、これにつき登記を経ていないことは参加人の自認するところである以上、大津一雄の右所有権移転登記に伴い参加人はもはや大津一雄及びその相続人たる被告らに対し本件土地につき所有権あることを主張し得なくなつたというべく、しかも本件訴訟が民事訴訟法第七十一条に該当するものとして、訴訟の目的が訴訟当事者全員につき合一にのみ確定すべき以上、参加人は原告に対しても、右土地の所有権を主張し得ざるに至つたものというべきである。
(松田 猪俣 沖野)